・公認会計士に興味があるけど文理選択を迷っている高校生
・就職について考え始めている理系大学生
この記事はこのような人向けに作成しています。
私は、高校で理系を選択してから、理系の大学を卒業していて、長年理系畑にいました。
そして、在学中に公認会計士の勉強を始め、在学中に合格することができました。
そのような経験から、今まさに理系に進もうか迷っている高校生や、公認会計士に興味を持ち始めた理系大学生の悩みを解決できればと思っています。
公認会計士になるのに、文系と理系はどちらが有利?
結論は、どちらにもメリットとデメリットがあります。基本的には理系のメリットは文系のデメリット、理系のデメリットは文系のメリットになりうると思います。
ただ、大学で学ぶ内容が公認会計士試験に直結している人の方が少数派と思いますので、私の意見としては「大学で学びたいものを基準に学部を決定すべき」です。公認会計士試験と大学は切り離して考えて良いと思います。
公認会計士にはどの学部からでも目指せますから、興味のある分野の勉強をすべきだと思います。
とは言え、「何としても公認会計士になりたい!」「それ以外のことは二の次!」「公認会計士になれればそれでいい!」という人もいると思いますので、理系・文系のメリット、デメリットについて深掘りします。
理系のメリット
理系学生が公認会計士を目指す上での最大のメリットは、「勉強習慣があること」です。
公認会計士試験で一番重要なのは、勉強を長い期間継続することですので、勉強習慣をいち早く身に付けられるかが勝負の鍵になります。
もちろん文系学生にも勉強習慣がある方もいますが、理系の場合は半強制的に勉強せざるを得ない状況なため、習慣化することへの抵抗が比較的小さいと思います。
また、公認会計士試験では会計学の計算が得意かどうかが大事なポイントの一つです。会計学の比重が大きいためです。
さらに計算が得意であることの利点は「会計学」「租税法」「経営学」「統計学」で生かされます。
加えて、論理的な文章構成をする機会が多い理系学生は、文章を書く点でも有利に働くと思います。
公認会計士試験では計算以外にも「企業法」や「監査論」など、全てが論述という科目もあります。
特に「企業法」では条文を使って論理的に文章を展開することが求められますが、理系の実験レポートで鍛えられている理系学生にとってはアドバンテージがあると言えます。
私自身、「企業法」は得意科目でした。数学の証明問題を解くような感覚で答案構成ができます。
理系のデメリット
理系のデメリットとして一番大きいのが、勉強時間の確保が難しい点です。
平日は授業や実験、研究室での時間がとられ、公認会計士の勉強一本という訳にはいかないでしょう。
その点では工夫が必要ですが、私の経験では、「なんの予定もない休日ほどやる気が起きず、だらだらと過ごして午前中が終わってしまう」なんてことがざらにありました。
適度に制約があったことが、「なんとしても勉強時間を捻出しよう」「この時間は手中してやろう」という気持ちにさせてくれたと思います。
また、理系学生は簿記の知識がないことが多いです。
文系学生であれば一般教養の講義などで触れる機会も多いかと思います。とは言え私も全くのゼロからスタートしましたし、予備校のカリキュラムも完全初学者から組まれているので問題はありません。
理系学生の学ぶ、難しい数学のような概念は出てこないので、反復練習で慣れさえすればできるようになるものが早いはずです。
最後に、法律用語などに疎いことが挙げられます。
「善意の第三者」など法律特有の言い回しが散見されるので、最初は戸惑うことも多いかもしれません。
しかし、これもすぐになれてしまうと思いますし、問題となることもないです。
文理選択での一番の判断ポイント
これらの中で、一番大きいのは勉強習慣と勉強時間です。
メリハリを持って勉強できる人、勉強にやる気のある人は理系でも文系でも大丈夫です。
一方で、意思の弱い人にとっては理系で公認会計士を目指すのは苦労します。勉強時間の確保が難しいからです。(意思が弱いと文系からでも苦労はします)
「どんな状況でもやってやる!」という覚悟を持つ方が合格しやすいのはさておき、あまり自信がないもしくはそこまでして理系に進みたいわけではない人は無難に文系に進みましょう。
理系から公認会計士になる人はどのくらいいるのか?
公認会計士試験受験者や合格者の学部は公表されないため、正確なデータはわかりません。
私の感覚にはなりますが、理系出身者の割合は20〜30人に1人程度だと感じます。仕事していると何人かお会いすることがあります。
なので理系出身者は圧倒的なマイノリティです。それでも昔に比べると最近は理系出身者が増えてきているようです。
理系出身者が少ないからと言って、理系だから合格しにくいということはなく、理系特有のメリットとデメリットがあります。
忙しい理系大学生は公認会計士の勉強を最後までできるかが肝となり、合格率には差はないはずです。
理系は大学で忙しいから予備校に通わず独学の方が良い?
答えはノーです。
理系こそ予備校に通いましょう。
予備校に通うことで、勉強の効率化を図ることができます。
また、効率化だけでなく勉強スケジュールの管理も予備校がカリキュラムとして提示してくれます。
確かに初期投資としては大きな出費ですが、合格してしまえばすぐに回収できます。
理系から公認会計士を目指す注意点
ここまで読んでいただいた方には、お分かりだとは思いますが、理系から公認会計士を目指す上で一番の障壁は勉強時間の確保です。
一限から五限まで授業を受けた後に予備校に通ったり、実験レポートや課題を抱えながら、公認会計士試験の勉強もしないといけない週末など、正直大変ではあります。
友達とも遊ぶなとは言いませんし、私も定期的に旅行など行ってましたが、ある程度の覚悟は必要です。
私は、隙間時間は常に勉強するくらいの気概で勉強してました。その覚悟があればむしろ文系で時間に余裕がある人よりも合格は近いと思います。
大学院に行くか迷っている人へ
結論として、「研究が楽しい」なら進学すべきです。公認会計士試験はいつでも受けられますが、大学院に入り直すのはハードルが高いです。
人生の学生時代は今しかないので、是非大学院に進学してほしいです。
私自身、社会人になってからも大学院に入り直して勉強したいと思いますが、年齢や収入などの様々な面で難しいと感じます。
大学はやめない方がいい
中には、大学をやめて公認会計士試験の勉強をした方が良いんじゃないかと悩んでいる人も多いと思います。
理系学部生は忙しいので、勉強一本にしたいという気持ちは痛いほどわかります。
私自身も大学をやめて専念するか悩んでいた時期もありました。
結果としてはやめなくて良かったと思っています。
理由は3つあります
・所属コミュニティがある方が精神的に安定する
・最悪、理系就職するというリスクヘッジ
・大学から逃げないことで、勉強のメリハリがつく
です。受験は孤独な戦いとなりがちなので、勉強以外の関わりを外部に持っておくことは、精神衛生的にも望ましいです。
また、理系にいるならば、最悪理系就職することができるので、リスクヘッジになり、これまた精神的に楽になります。
最後に、忙しい大学生活から逃げなかったことで「やってやる」の気持ちが強くなり、勉強のメリハリもつきます。
以上から、もし悩んでるなら大学はやめずに続けてみてはいかがでしょうか。
理系で公認会計士になることの利点
理系で公認会計士になるとどんな良いことがあるのか。
「会計」は数字を扱う学問です。
なので数字に強い会計士はそれだけで価値があります。というより数字に弱い会計士に価値はありません。
理系であれば数字には比較的強いはずなので、この点でリードできます。
また、金融や製造業、エンタメ業界など、ビジネスの根幹には理系的概念が数多くあります。
監査に置いて重要なビジネスの理解にとってもアドバンテージとなります。
最後に、マイノリティなので話題になる、すごいと言われる、というのもあります。
これは利点と言うほどではないですが、差別化しやすく人に覚えてもらいやすかったりします。