はじめに
「修士課程で公認会計士試験の勉強を始めるのは無謀なのか?」
これは私自身が修士1年のときに抱いた疑問でした。理系の研究室に所属しながら、会計という全く異なる分野の試験勉強をすることに、不安を感じていました。しかし、結果的に合格を果たし、現在は公認会計士としてキャリアを歩んでいます。
本記事では、私が修士課程で公認会計士試験の勉強を始めた理由と、どのように両立させたのかを詳しく解説します。同じような境遇の方の参考になれば幸いです。

修士課程で公認会計士試験を目指した理由
研究の将来性に対する不安
私は大学院で工学を専攻していました。もともとは研究職を志していましたが、研究を進める中で次のような不安を感じるようになりました。
- 研究職の競争が激しい:限られたポストを巡る競争があり、安定したキャリアを築ける保証がない。
- 専門性が狭すぎる:大学院での研究は高度な専門知識が求められるが、その分野以外では通用しづらいと感じた。
- もっと広い専門性がほしい:工学だけでなく、ビジネスや会計の知識を身につけることで、より多様なキャリアの選択肢を持ちたかった。
- 実務との距離:研究が社会にどう役立つのかが見えにくく、実務的なスキルが身につきにくい。
そこで、実務に直結し、かつ将来的に独立も可能な公認会計士という選択肢を考え始めました。
数字を扱う仕事への適性
理系出身者は数字に強い傾向があります。私も数学が得意で、数値データを分析することが好きでした。公認会計士試験には財務会計論や管理会計論といった計算問題が含まれるため、理系の強みを活かせると考えました。
資格を取ればいつでも会社を辞められる
社会に出たことがない身にとって、社会に出ること自体が不安でした。研究室という限られた環境の中で生きてきたため、ビジネスの世界で通用するのか、自分の能力でやっていけるのかが分かりませんでした。
また、会社員としてバリバリ働くことにも自信がありませんでした。そのため、万が一就職後に合わなかった場合でも、会計士という資格があれば別の道を選べるという安心感がありました。
キャリアの柔軟性
公認会計士は、監査法人だけでなく、事業会社、コンサルティング、金融機関など幅広いキャリアパスがあります。理系のバックグラウンドを活かしつつ、異なるフィールドで活躍できる可能性を感じました。

修士課程と試験勉強の両立方法
タイムマネジメントの徹底
修士課程では研究や授業のスケジュールがあり、自由時間が限られます。そのため、時間の使い方を徹底的に管理しました。
- 平日:授業・研究の合間に1~2時間勉強
- 週末:図書館やカフェで6~8時間勉強
- 移動時間:音声教材を活用
特に、研究室の拘束時間を把握し、無駄な時間を省くことが重要でした。
計算科目を優先
公認会計士試験では、短答式試験と論文式試験の両方が求められます。理系の強みを活かせる計算科目(財務会計論・管理会計論)を先に攻略し、得点源にしました。
暗記科目の工夫
企業法や監査論といった暗記科目は、理系の思考法とは異なるため苦戦しました。そこで、次のような工夫をしました。
- ストーリーで理解する:企業法は「会社が誕生して成長し、最終的にどうなるか」という流れで覚える。
- 図解化する:監査論のフレームワークを図にまとめる。
- アウトプットを増やす:友人とクイズ形式で復習する。

試験勉強中の課題と乗り越え方
研究と試験勉強のバランス
研究が忙しくなると、試験勉強の時間が削られがちです。そこで、研究と試験勉強のバランスを取るために、次のように対策しました。
- 研究の計画を前倒しで進める
- 試験前1ヶ月は研究室にこもらない(指導教官に相談し、試験直前は自宅学習を優先)
モチベーションの維持
試験勉強は長期間にわたるため、モチベーションの維持が課題でした。私は以下の方法で乗り越えました。
- 合格後のキャリアを具体的に想像する
- 合格者の体験談を読む
- SNSで同じ目標を持つ仲間と交流する

修士課程で公認会計士を目指すメリット・デメリット
メリット
- 時間の融通が利く:社会人よりも自由な時間が確保しやすい。
- 理系の強みを活かせる:計算問題で得点しやすい。
- 早期キャリア形成が可能:20代で資格を取得すれば、選択肢が広がる。
デメリット
- 研究との両立が大変:計画的に時間を使わないと厳しい。
- 文系科目に苦戦する:法律・論述科目は対策が必要。

まとめ
修士課程で公認会計士試験を目指すのは決して簡単ではありません。しかし、理系の強みを活かし、計画的に学習すれば十分に合格可能です。
✔ 研究のスケジュールを管理し、勉強時間を確保する ✔ 計算科目を得点源にし、暗記科目は工夫する ✔ モチベーションを維持し、合格後のキャリアを意識する
これから公認会計士を目指す方の参考になれば幸いです!